序章 -天人-

ある少年が突然こう言った。

「ねぇ、上の世界ってあると思う?」

上の世界...か。

もう一人の男は少年に冗談をいうような口調で言った

「上の世界?ははは、なに言ってんだ。あるわけないだろう?」

もちろんあるわけがない、まあ空から上の世界の物とか人が落ちてくるとかだと俺も信じちゃうかも。まぁないんだけどね。

「そっかぁ、ありがとね」

少年は買い物の途中で男の場を去った。

「上の世界ねぇ...」

タバコをふかしそう言いながら上を見上げると

「んぁ?なんだありゃ」

最初は飛行機や鳥かと思っていた。だが目を凝らしてよくわかったんだ。

「ありゃ人影だ!」

上空から人が落下している、なぜ上から人が....まさか?まぁパラシュートがなきゃ即死だろう。勿論ほっとくわけにもいかず

「アイン!ツヴァイ!ドライ!」

そう叫ぶと、彼の部屋からガラスを破り男に向かって行く機械達

その機械達は男の腕、胴体、足へと向かっていき男へと装着された。

機械が体全体に装着されるとまるでSF映画に出てくるような装甲をまとったヒーローのような姿になった。

「試作品だが...なんとかなるだろう」

そう言うと背部のブースターと飛行ユニットを起動させ、救出しに行く

時速300Kmは出てるだろう、普通の人間じゃ耐えれないがこのスーツじゃあなんて事ない。そしてあっという間に雲に近づいて行く

「高度1000、高度2000、高度3000!いたぞ!」

全てのブースターを起動し落下する人の元へ行く

落下していく人を抱き抱える。顔をよく見ると綺麗な女性が気を失っていた。

「おっ女ぁ!?しかも美人じゃねぇか!気を失ってんのか?まあいいとりあえず救出を、ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお?!」

エネルギーガ1%ニナリマシタコレヨリスベテノドウサヲテイシシマス

「エネルギー切れぇ!?嘘だろおおおおおおおおおおおおおお!?」

スーツの重みで猛スピードで落下していく

このまま行けば俺が死ぬだろう。彼女のクッションになって死ぬのも本望だがそういうわけにも行かない。

2000m 1000m どんどん地上が目前へと見えてくる

「これ...しかない!」

「アイン、ドライ!パージ!」

そう言うと足と胴体のスーツを解除し女を抱き落下していく

「高度200...よし今だ!」

手に付けていたスーツの腕部分に信号を送り、残りの1%で手のひらに付いている飛行ユニットを起動、上空10mくらいでエネルギーは切れ、木の上に落下していく

「ふぅ...とりあえず一段落って所だな...」

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「ハッ、ここ...は?」

「よっ、目覚めたかい嬢ちゃん」

辺りを見回す女

すると女は服の袖から拳銃を取り出す

「貴様、帝国の者か」

「まて、まてまてまて!俺はそんな奴じゃない!街のメカニックだ!拳銃を下げろ!」

いきなり拳銃を向けるとは、物騒な嬢ちゃんだ....。

「わかった、貴方、名前は?」

「俺はゲイル、ゲイル=G=ブロッケンハイム」

「私はキリコ、キリコ=エイーセ」

「では、私は失礼する」

そう言うと荷物をまとめてゲイルの家から出ていく

「まて、嬢ちゃん!いやキリコちゃん!聞きたい事が色々ある!お前は上の世界から来たんだろ?色々話してくれないか?」

「何を言っている?ここは天界だろう?では、私は家へ帰る。」

何を言っているんだ嬢ちゃんは、さっぱり意味が分からない

「ここは地上で、キリコちゃんは空から落ちてきたんだよ!」

「空?落ちてきた?さっぱり意味が分からない、私は帝国から逃げて海へ自分で飛び込み自害したはずだが?」

空...海...。まさか...

「その海の名前って...。」

「「ミドルシー」」

やっぱりだ、上空10000m以上にある謎の場所、未だに調査が進んでいない空の海

「なるほど、大体わかったよ。君は天人で、帝国に追われ、自害しようとし『ミドルシー』に飛び込んだ。そして俺に助けられた...と、とりあえず椅子に座って話そう。」

ゲイルとキリコは黙々と椅子に座り、会話の続きをする。

「なぜ君は帝国に追われていたんだ?犯罪者なのか?」

そう俺は聞くと、キリコの顔は悲しげな表情をし、俺にこう言ったんだ。

「私の身内は...みんな帝国に...帝国に殺されたんです...」

「奴らは...下民の奴らは『ゴミ』同然、使えない『ゴミ』は死ねと言いながら私の家族を、友達を【遊び】の如く殺して行きました。虐殺などしても政府は全く動きません、奴らは『下民』であれば何をしてもいいと考えているのです」

「そして私は形見の拳銃を持ち、腐りきった帝国の王を殺し、『革命』を起こすため、王都に突入したのですが、警備が固く即刻捕まり、死刑宣告をされ水平線がよく見える崖で首を斬られる予定でした。」

「でも私は、帝国に首を斬られるくらいなら自害した方がマシだと思い崖から飛び降りました。勿論私は死んだと思ってました。しかし下の世界があり、貴方に助けられたのです、助けて頂き...ありがとうございました。」

キリコは涙を流しながらゲイルに語る。

「いやぁお礼なんていいよ、ほらハンカチ、涙拭けよ。泊まるとこないんだろ?よかったらここで働いて金稼いである程度稼いだら外でて暮らせばいい、それまで家泊めてやるよ。」

ゲイルは街のメカニック権機械修理屋をしている。

 稼ぎも結構あるらしく、不自由なく生活できているそうだ

「いや、私は天界へ戻る、戻って必ず『革命』を起こす。ではなゲイル」

「と言ってもよ嬢ちゃん、天界へ帰るにはどうするんだ?」

「そ、それは...。 そうだ!貴方メカニックなんでしょ?なら天界まで行ける乗り物を作ってちょうだい!」

「え、えええええええええええ!?」

 

父さん、母さん、僕はもしかしたら、もしかしたら世界を覆す発見をするかもしれません。